気づけば君が近くにいてくれた




本当に火傷跡がわからない。


目を凝らしてよく見れば、なんとなくあった場所はわかるのだけれど、パッと見る限りではわからない。


これならきっとマスクがなくても……



「どう?このまま外に出てみない?」


「出て、みたい」



香純ちゃんは、私が火傷跡を見せたくなくてマスクをしていたことを知っている。


だからどうしたらマスクなんてしなくても外へ出られるのか考えてくれたんだと思う。



「あ、そうだ!外に出る前にこれに着替えてくれる?私は部屋の外で待ってるから準備できたら出てきてね?」



私に袋に入った何かを手渡してテーブルの上のメイク道具をカバンへとしまった後、部屋の外へと出て行ってしまった。



着替えってことは、服だよね?



あらかじめジャージって言われてたし、次はなんだろう。


袋から取り出してみると、それはTシャツだった。


胸元にはワンポイントでイラストが描かれており、1-2という数字。


バックには、たくさんの名前が書かれている。


知らない名前ばかりのその中に、私の名前も見つけた。



もしかしてこれってクラスTシャツってやつ?



全然学校になんて行っていないのに……


私の名前がそこにあることに感動して、目が潤む。


忘れられていなかったんだ。


それがとても嬉しかった。