気づけば君が近くにいてくれた




香純ちゃんの真似をしつつ、しっかり体が温まってきた頃、藤波くんから準備ができたとの声が聞こえた。


私たちのリレー順は、最初に香純ちゃんが走って次に私が走ることになった。


だから、スタートの合図をするのは私。



「あ、バトンはこれ使って」



なにやらカバンから出してきたのは、運動会でよく見た本物のバトン。



「え、藤波くん、なんで持ってるの?」



普通の人はバトンなんて持っていないはず。



「ちょっと借りてきた!やるからには本気でね」



さっきも似たようなことを聞いた気がする。


“本気”にこだわる藤波くんと香純ちゃん。


でもなんだか、それが学生に戻れたような気分になれてちょっと嬉しい。



「じゃあ片寄さん、合図お願いね」


「うん、わかった」



私がトラックの内側に立つと、スタートラインに藤波くんと香純ちゃんが立った。


これもハンデということなのか、香純ちゃんが内側で藤波くんが外側。



「位置について、よーい……スタート!」



リレーのスタート合図ってこんな感じでよかったっけ?


なんて少し不安に思いながらも、私の掛け声でスタートしたミニリレー。