気づけば君が近くにいてくれた




香純ちゃんに耳打ちされた作戦。


ちょっと良心が痛んだけれど、上手くいったら面白いかもと乗ることにした。



「藤波くん待って」


「待ってあげたいけど、捕まるのはなぁ」



遊具を挟んで、藤波くんと1対1の勝負。



「あと30秒」



私から逃げながら、器用にスマホで残り時間を確認している。


そんな藤波くんの後ろからじわじわと歩み寄る影。



「あと10秒だよ、片寄さん」



そう言いながら少しずつこちらへ近づいてくる。


鬼に近づくなんて、余裕にも程がある。


でもこれでいいの。


全ては香純ちゃんの作戦通り。



「藤波くんタッチ!」


「……どういうこと?」



藤波くんの肩を叩いたのは、私ではなく香純ちゃん。


作戦が上手くいって、香純ちゃんは満面の笑みを浮かべている。


実は藤波くんの見ていないうちに、鬼を交代していたんだ。


私が鬼だと思っている藤波くんを引き付けて、実は鬼になっている香純ちゃんが藤波くんを捕まえる。


ちょっと卑怯な手だけれど、意味がわからないと放心状態の藤波くんを見ると面白くて笑ってしまった。