気づけば君が近くにいてくれた




ある程度体がほぐれた後、香純ちゃんが閃いたように叫んだ。



「最後まで鬼だった人、アイス奢りね!」



鬼?


アイス?



「オッケー。じゃあ僕が最初鬼やるから逃げてね、いい?」



藤波くんはノリノリだ。



「いーち、にー、さーん……」


「えっ、あの……」



手を叩きながらカウントを始める鬼の藤波くん。


まだ何が起こるのかも、心の準備もできていないのに。



「鬼ごっこだよ、実桜ちゃん!早く逃げてー!」



お、鬼ごっこ!?


鬼ごっこをするなんて、いつぶり?



私の記憶を辿る限り、多分最後に遊んだのなんて小学生だ。



「しーち、はーち……片寄さん、そんな僕の近くにいたらすぐ捕まえちゃうよ?」


「ま、待って待って!?」



藤波くんは不敵に笑う。


私が止めようとしてもカウントは止まらない。



は、早く逃げなきゃ!



咄嗟に体が動く。


でも、ずっと家に引きこもりっぱなしだった私の体は重くて動かない。


太ったってことはないはずだけど、あきらかに体力が落ちた。


走るなんて、本当に小学生ぶりだから。