気づけば君が近くにいてくれた




それが昭子おばあちゃんが私のことを心配する理由。


私がどんなに周りの人との関わりを避けて引きこもって不登校になっても、私の気持ちを否定せずにずっと優しく、近くで見守ってくれていた。


学校は行きたくなったら行けばいいと言ってくれていた。


さすがに中卒の学歴では生きていけないと、必死に勉強して何とか高校受験を乗り越え、今日という日を迎えることができた。


幸か不幸か、遊ぶ相手がいなかったこともあって、勉強があまり好きではなかった私でも受験勉強に集中できたことがよかったのかもしれない。


私のことを知らない人がいるところに行きたくて、家からは少し離れた高校を受験した。


高校生になれば、少し変われるかもしれない。


もしかしたらと小さな希望を心のどこかで感じていて、重い腰を上げて入学式には出席してみることにした。


式は午前中で終わるから、たとえダメでも数時間だけ我慢すればいい。



「いってきます」



口角を上げて笑顔を作り、昭子おばあちゃんにそう告げて家を出た。