――――――…久露花局長から送られてきたメールは、とてもシンプルで。

しかしシンプルであるが故に、非常に難しいものでした。

自分が正しいと思ったことを…ですか。

結局私は、あのとき感じた喪失感の名前が分からないまま。

翌日も同じ思いを引き摺って、登校しました。

何でしょう、この気持ちは。

昨日の、奏さんの目に溜まった涙が、脳裏に焼き付いたように、消えてくれません。

私は、正しいことをしたはずです。

だって私は、『人間交流プログラム』を実行している『新世界アンドロイド』で。

恋人が出来たら、その人からまた別の感情を学ぶことが出来ます。

それは間違いなく、このプログラムにとって有益であり。

私が人間の感情を理解する為に、必要な過程だと思うのです。

それが正しいはずです。

正しい判断をしたのだから、私は堂々としていれば良いはずなのです。

それなのに、何故この喪失感は消えないのでしょうか。