「一応聞いておくけど、それは…また、本の影響?」

「はい」

と、私は答えました。

よく分かりましたね、奏さん。

名探偵ですか?

「またあの…『猿でも分かる!友達の作り方』?」

「いいえ、その本ではありません」

「えっ」

と、奏さんは意外そうに言いました。

「前回その本で試して、クラスメイトに拒否されたので、別の本を参考にすることにしました」

「お、おぉ…。凄い。瑠璃華さんとは思えない成長だ」

と、奏さんは言いました。

奏さん。それはどういう意味なんでしょうか。

「今度はどんな本?」

「『猿でも分かる!親友の作り方』です」

「…やっぱりそのシリーズなのか…」

と、奏さんはガクッとして言いました。

何か問題があるのでしょうか。

良い本だと思うのですが。

「しかも、友達に続いて、親友編まであるとは…」

「ちなみに同じシリーズで、『知り合いの作り方』っていう本も出版されていますよ」

「知り合い…。守備範囲狭っ…」

と、奏さんは言いました。

良い本だと思うのですが。

「…ちなみに瑠璃華さん。つかぬことを聞くけど」

「はい、何ですか?」

「そのシリーズ、『恋人の作り方』って本は出版されてないの?」

と、奏さんは聞きました。

唐突に、一体何の話でしょうか。

でも、友達の質問なので、ちゃんと答えます。

「勿論ありますよ」

と、私は言いました。

あの『猿でも分かる』シリーズは、時代と次元を越えて、多種多様な分野について出版されていますからね。

何でもあると言っても過言ではありません。

「そっか…。出来れば、そっちを読んで欲しかったな…」

「はい?」

「あ、いや何でもない。それより瑠璃華さん」

「はい」

「何で友達じゃなくて、今度は親友にしたの?」

と、奏さんは聞きました。

とても良い質問です。