「バイト?」



彼氏__津田結心くんの言葉に首を傾げると、スクールバックの中を漁り始める結心くん。


2年C組。

部活の時間が始まって、教室に誰もいなくなった今、結心くんが言い出した。



「バイトしてみない?」


そして、今に至り、結心くんはスクールからスマホを取り出し、照れながら笑った。



「あはは……スマホ、あんまり使わないからスクールバックに入れっぱなしで……」

「私もっ……」



結心くん、しっかり者だから、なんだか親近感が沸くなぁ……。


そんなことを考えている私とは別に、結心くんはスマホを私に見せた。



「これっ」



ぐいっと近づけられたスマホの画面には、《ヴ・メーム》というカフェのホームページが映っていた。


これ……私が前行ってみたいって言ったお店……!



「ははっ、その様子だと気づいたみたいだね」

「うんっ……! これ、覚えててくれてたの……?」



こくっと頷き、そう訊ねる。



「うん、でさ……」



そう言って、またスマホを操作して結心くん。

そしてまた新しい画面を見せてきた。



「ヴ・メームで働いてみませんか……? 結心くん、これって……」

「彩、ここでバイトしてみたら……!」



バイトかぁ……。

アルバイトは前々から興味があって、中学の頃から「高校生になったらアルバイトをしてみたいっ……」て言ってたし……。

それに、行ってみたいお店……こんな素敵なカフェでアルバイトを出来たら、楽しいだろうなぁっ……。



「……してみ、たい」

「そっか! じゃあ今すぐにでも連絡して……」

「でもっ……!」



ホームページに載ってある番号に電話しようとすふ結心くんの言葉を遮る。



「まだ、心の準備ができてないから……そんな速くには……」



こういうのは、ちゃんと準備とか、決意とかがいるんじゃないかな……?

働くにしても、軽い気持ちだと、お店にも失礼だし……。



「……そうだね、じゃあ彩ちゃんの気持ちも大事だから、近々そこに行ってみよっか」

「……! うんっ!」



ふふっ、早く行きたいなぁ……!