「まって顔上げてよ。
勘違いってなに?私なにか勘違いしてた?」
深々と頭を下げていた颯太さんがゆっくりと顔を上げる。
「紛れもなく俺はホストです。
…けど、言い忘れていました。
ホストとは言いましたが、接客側ではございません。」
「は?」
接客側ではない……?
また、脳内が、狂い出す。
「ホストの中で働く、厨房担当です」
なんて事をサラリと言うものだから
「おいそれ先言えよ」
気づけば
さっきの態度とは裏腹に
私の態度は一変していた。
「私ずっとホストだって言うから!
あっち側の人間なんだって思ってたのに!なに!?厨房で働いてる?
それ先言えよ!」
「はい。だから今言いました。
言い忘れていましたので」
「っーーーー!!!」
なんなんだ。
なんなんだ。
なんなんだっ!!
この男自由過ぎる!!!
「もう!どいて!お風呂入る!!」
ドンっと颯太さんを体当たりするかのようにぶつかり
おっと、とよろめく颯太さんを睨んで部屋を出た。
私の部屋で一人残された颯太さん。
お風呂場に向かう私。
イライラはするものの
モヤモヤとした心がなぜかスッキリした事に自分でも驚いていた。