「紀恵ちゃん!?久しぶりだね~!」


「お久しぶりです、涼さん…」





私は今、この先来るはずないだろうと思っていたホストクラブにいる。(もちろん颯太さんには内緒で)




しかも、





「あれ?キミ…見覚えのある顔だな」


「俺のことご存知なんですか?光栄です。」





私の隣で爽やかな笑みを浮かべるコイツ、



カイと共に…。





(どうしてこうなった…)





とてもカオスなこの状況。



こうなってしまったのは、紛れもなくあの時の" 約束 "が原因。





それは遡ること高校3年生のある日───







「今の点数だと狙えるよ。この大学」


「ほんとですかっ!?」





2年生の残りのテストも死に物狂いで勉強した結果、もちろん赤点はゼロ。そして全教科85点以上をキープ。



その結果が花を開いたのか、一時期は難しいと言われていた大学も狙えるとのこと。





(嬉しすぎる…!!!)





すっっっごく頑張った甲斐があった…!



まだ大学に受かったわけではないけれど、ただ狙えると言われたことが嬉しかった。





「失礼しました!!!」





職員室を出てから先生に言われたことを忘れないうちに颯太さんへ連絡を入れる。





『行きたい大学狙えるって!!!』

『嬉しすぎて震えが止まらない…!』

『受かるためにももっともっと頑張る!!!』





それ以外にも複数のメッセージを送ってからハッと気づく。




うわ…やっちゃった…。


結構な量送っちゃったけど…今って仕事中だよね?




迷惑になってないかな、と。
打ち終わってから反省する羽目に。





「へぇ~、志望校狙えるようになったんだ?」


「!!!」





しかもその画面をカイに覗き込まれるという始末。




ああ、もう…。