遊園地に行ったあの日から数日後。
私は" あの家 "に引っ越した。
ちゃんと言えば、戻ってきた、かな。
実家とは違って少し狭い家だけど、私にとっては居心地の良い場所。
ここに戻ってくる時、またお父さんが泣きそうな顔をしていたっけ…。
あの過保護な部分どうにかならないものかと、…まあそれはお父さんなりの愛情なんだと知った。
大切にされることは悪いことじゃない。
とても有難いこと、なんだよね。
家具の配置などは私が居た時と変わらずで、
ただ1つ。
変わったことといえば
それは、颯太さんの部屋。
山積みになっていた難しそうな書類も
沢山あったスーツも
颯太さんの私物は、1つも無い。
戻ってきた日には既に、ベッドとデスクなどの家具以外何も無い部屋になってた。
当然のことに寂しい気持ちになったけど、不安で探しに行こうという気持ちにはならなかった。
だって、約束したんだもん。
颯太さんは長期間
出張でこの場を離れるみたいで、
私とほぼ入れ違いで違う場所へと行ってしまった。
正直、その話を聞いたときはまた会えないんだって悲しくなったけど…
「俺が、あの家にいないだけ。
休みの日はこうやって会えるよ。
だから今と何も変わらない。」
その言葉に、ホッと安心感を覚えたんだ。
ちゃんと会ってくれるんだって。
もう、会えない、なんてことはないんだって。