「なんでダメなの?」
私はこんなにもしたいのに…
「したら、頭の中は俺の事でいっぱいになるでしょう?」
そう言われてしまえば、言い返す言葉がない。
だってその通りだし……
「行きたい学校があるなら、まずは3年生に進級出来ないと意味がないですよ。」
「分かってるもん…」
「じゃあ、頑張れますね?」
「…………………」
コクリ。軽く頷けば、もう一度頭を撫でてくれた。
それからも勉強は続いて、
「この方程式は…」
隣で説明してくれている颯太さんだけど
(綺麗な顔だなぁ…)
颯太さんを見てしまえば
自然と視線は口元へ。
「紀恵さん?」
「………………」
「紀恵さん」
「へっ…!?な、なに!?」
「集中して下さい。」
「ご、ごめんっ!」
あーもう…
ちゃんと集中しなよ私…。
颯太さんも呆れた顔してるしさ……
「じゃあ、ここまでやっておいて下さいね」
「うんっ!!!」
先にお風呂に入ると言って、
隣に居た颯太さんの気配がなくなると
「はぁ~…」
頭を机に置いて項垂れた。
颯太さんといると
どうしても集中力が切れる。
離れたくないし、できることならずっと傍にいて欲しいけど……今はそんなこと言ってられない。
(とりあえず明日は学校で勉強して帰ろう…)
少しでも集中して勉強しないと。



