カズさんが教えてくれた場所。


近くで見ると、息を飲むほどに圧倒された。






(タワーマンションなんて初めて入るよ…)





なんだか良くない事をしている気がして、エントランスで躊躇った。




だけど、ここに、颯太さんがいるかもしれないって。カズさんがそう言っていたんだ。





躊躇っていた身体を動かして、オートロックのその場所にカードキーを差し込む。





それと共に開いた自動ドア。





小さく息を吐いて、中に踏み入れた。





(部屋番号は1603)





カズさんが言っていたことを思い出して、エレベーターに乗る。




沢山の数字に戸惑いながらも、きっと16階なのだろう。そう思い、その階に向かった。





(1603号室は……)





着いてすぐにその部屋番号を探した。



とても広い廊下に驚きつつも、その部屋を探す。





(………あった…)





表札に1603の文字が。





(入って…いいのかな。)





今更になって怖くなってきた。




もしここにいなかったら?


だとしたらこれは全部無駄足になる。





いるかもしれない。

いないかもしれない。




それは見てみないと分からない事で、





(すみません…お邪魔します!!!)





鍵を開けて中に入れば、


麗華さんの匂いがした。