鼻筋の通った綺麗な横顔をぼんやりと眺めていると、スマホを机に伏せた仁が私の方へと身体を寄せてきた。

普段から一緒に動画を見たり、雑誌を見たりするときにこうして距離を詰める事はあるけど、何故だか今日はいつもより近く感じる。



ドキッ

えっ、私なんで仁にときめいてるの……?



「なに、菜月は俺に彼女が出来て欲しいわけ?」

「……え?」


この話題は終わったと思っていたけど、まだ続いていたみたい。


仁の気怠げな眼差しが僅かに細められる。


酷く大人びた表情がなんだか知らない男性みたいで、心がざわついた。

自然と赤くなる顔と、激しく鼓動する心臓。


思わず反対側へと移動して距離を取ろうとする私を仁の手が引き留めた。



「逃げないで答えろ」

「べ、別に……さっきのはただの冗談だよ?」



「知ってるよ、俺は菜月の気持ちが聞きたいだけ。……俺が違う誰かと付き合うってことは、こうして一緒に過ごす事もなくなるんだけど」

「それは……」

「菜月はそれでいいの?」