寒い冬を乗り越えるために、あったらすごく便利なのがこたつ。

冷えた身体をすぐに暖めてくれる優れものだけど、一度入ったら抜け出せなくなる。


「はぁー……ずーっとこうしてたい……最っ高……」

こんな気の抜けた独り言が洩れてしまうくらいに心地良い。


こたつに入って食べる、みかんとアイスがほんっとに美味しいんだ。


「おい、菜月(なつき)
休みだからってゴロゴロするな」


肩から下をすっぽりとこたつの中に潜り込ませていると、不意に頭上から私の名前を呼ぶ、鋭い声が降ってくる。

顔だけあげると、目の前には幼なじみの(じん)が腕組みをして立っていた。


幼さを僅かに残しながらも、整った顔立ちが私を見て呆れの表情を浮かべている。