「お前ってさ、ホントに
 高校一頼りになる元生徒会長?
 百合園(ゆりぞの)財閥の御曹司?」



そこ、ツッコまないで。



「情けないって、言いたいんでしょ?」



「学校で『アメリ王子~』って
 女子にキャーキャー言われまくってる奴と、
 同一人物とは思えねぇな」



「……うっ」



「ヘタレな息子を見限ったオマエの親父が、
 とんでもねぇ大金つぎこんで作らせた、
 クローン人間じゃねぇの?」



「桜牙は、こっちの僕が本物だって
 わかってるくせに」



幼なじみでしょ? 

親友でしょ?



これ以上

僕の心の傷を、えぐらないでよ!




「俺から言わせりゃ、
 陰キャでぼっちなメイド一人落とせなくて、
 何が完璧な王子様だよ!」



「勝手に僕が、美化されちゃったの」



「ミルフィーユ王子って、マジウケる。
 パイ生地のサクってとこ、オマエには皆無じゃね?
 べちょべちょクリーム、オンリーだな」



「……」