一歩ごとに暗くなっていく道々、美澄はスマートフォンの画面を見ては頭を抱える。 ロキソニンを処方されてもおかしくはないほど、その表情は苦渋に満ちていた。 暗くなった画面をもう一度開いて、そこに「久賀夏紀」の文字が浮かぶと、天啓を乞うように空を仰ぐ。 星の見え始めたそこからは、もちろん天啓などやってこない。