結局、久賀にも美澄と同額のアルバイト代が支払われ、馨と三人揃って日藤家へ帰宅した。

「夏くん、いらっしゃい」

エプロンで手を拭きながら、真美は小走りでキッチンから出てきた。

「ご無沙汰してます」

「おー、夏紀。老けたね」

「綾音は相変わらずだな」

久賀と綾音が小学校の同級生であることは知っていたが、予想より砕けた雰囲気に美澄は戸惑った。
そんな美澄をよそに、久賀は慣れた様子でリビングへ向かう。

「久賀くん、元気そうだね」

「ご無沙汰してます」

テレビを観ていた辰夫も片手を上げて迎え入れる。
その側にためらいなく座る久賀と馨に麦茶を出して、美澄はキッチンへ向かった。
しっくり馴染む久賀は、美澄の知らないひとのように見えていた。