神崎さんからプロポーズを受けた2日後、
私は再び神崎さんと共にホテルへと訪れていた。


今日はホテルのオープニングセレモニーで
私もパーティーへ同席することになったのだ。


「じゃあ、かよ子さん。
僕は先に挨拶にいかないといけないから
着替えをすませたら、
会場で落ち会うことにしよう!」


「は、はい...」


こんな大きなパーティーに一人で向かうのは
心細いけど、神崎さんはいわば主役なのだからしょうがないよね...


緊張でうつむく私を見て、
神崎さんはフッと微笑んだ。


「大丈夫だよ。
そんなにかしこまったパーティーじゃないから。
美味しい料理を食べに来たと思って」


かよ子の頬に優しく触れる翼に
かよ子は「が、頑張ります...」
と、固い笑みを浮かべた。


「そんな顔されたら、行くに行けないな...」

神崎さんは困ったように眉をさげている。


「だ、大丈夫です...
神崎さんはお仕事に行って来てください」


また、子ども扱いするんだから...

私は神崎さんの背中をグイグイと
押しやる。


「ハハッ。分かったよ。
何か困ったことがあれば言うんだよ?」


神崎さんは苦笑いしながら、会場へと向かって行った。