「アル? これからどこかに行くの?」
聞き覚えのある声が後ろからそう尋ねてくる。いや、そんなわけがない。そんなはずがない。だって彼女は……俺のせいで――
「もうっ! アルってば!」
「っ!」
すると突然左腕をか細い女性らしい手が、力強くギュッと握りしめていた。
俺は動揺した。そして薄ピンク色の瞳を大きく揺らしながら、恐る恐る後ろを振り返った。
「やっとこっち見た! ボーッとしてちゃ駄目だよ? アル」
そう言って彼女は無邪気な笑顔を浮かべた。肩先まであるセミロングの紅色の髪。優しく細められる薄ピンク色の瞳には、びっくりしている俺の姿が映っている。
そんな彼女の左耳には、俺が右耳に付けている物と同じピアスが付けられていた。
「……………………ヘレナ」
長い沈黙の末に、俺はやっとの思いで絞り出した声で、恋人の名前を呼んだ。
★ ★ ★
「ここは……」
目を覚ました私は、真っ暗な闇の中に一人ぽつんと立っていました。左右を見ても、後ろを振り返っても、広がっているのは黒一色の世界――
「アムール様! ブラッド! サファイア!」
みんなの名前を呼ぶ私の声が闇の世界で反響した。そしてみんなからの返事はなかった。
「みんな……」
闇の中でただ一人。そんな言葉がふと心中に浮かびました。怖くなった私は、アムール様から貰った髪留めを握りしめようと前髪に触れた。
「あれ……」
しかし前髪には、アムール様から貰ったはずの月の形をした髪留めは付いていなかった。その事に焦った時、一気に恐怖心が湧き上がった。
体が小さく小刻みに震え、声を出して叫びたいのにそれが出来ない。まるで金縛りにでもあったかのように、体は思い通りに動いてくれませんでした。
聞き覚えのある声が後ろからそう尋ねてくる。いや、そんなわけがない。そんなはずがない。だって彼女は……俺のせいで――
「もうっ! アルってば!」
「っ!」
すると突然左腕をか細い女性らしい手が、力強くギュッと握りしめていた。
俺は動揺した。そして薄ピンク色の瞳を大きく揺らしながら、恐る恐る後ろを振り返った。
「やっとこっち見た! ボーッとしてちゃ駄目だよ? アル」
そう言って彼女は無邪気な笑顔を浮かべた。肩先まであるセミロングの紅色の髪。優しく細められる薄ピンク色の瞳には、びっくりしている俺の姿が映っている。
そんな彼女の左耳には、俺が右耳に付けている物と同じピアスが付けられていた。
「……………………ヘレナ」
長い沈黙の末に、俺はやっとの思いで絞り出した声で、恋人の名前を呼んだ。
★ ★ ★
「ここは……」
目を覚ました私は、真っ暗な闇の中に一人ぽつんと立っていました。左右を見ても、後ろを振り返っても、広がっているのは黒一色の世界――
「アムール様! ブラッド! サファイア!」
みんなの名前を呼ぶ私の声が闇の世界で反響した。そしてみんなからの返事はなかった。
「みんな……」
闇の中でただ一人。そんな言葉がふと心中に浮かびました。怖くなった私は、アムール様から貰った髪留めを握りしめようと前髪に触れた。
「あれ……」
しかし前髪には、アムール様から貰ったはずの月の形をした髪留めは付いていなかった。その事に焦った時、一気に恐怖心が湧き上がった。
体が小さく小刻みに震え、声を出して叫びたいのにそれが出来ない。まるで金縛りにでもあったかのように、体は思い通りに動いてくれませんでした。



