ヴェルト・マギーア 星の涙FinalAct

始めはその言葉の意味が分かりませんでしたが、彼女に言われた通りわたくしとマリンはサファイアの為に、決して王家の血を絶やさないと誓い合いました。
 
この世界が滅びる少し前に、彼女が亡くなった場所をエアから聞いていたわたくしは、マリンと一緒にお墓参りに行った。

サファイアが亡くなった辺り一面は分厚い氷で覆われ、所々に激しい戦闘痕が残っていた。その中でも一番目立つ存在が、ぽつんと真ん中に存在していた。
 
巨大樹ほど大きくないそれは、空に向かって氷の枝を伸ばし、キラキラと僅かに光りを放ちながら立っていた。

わたくしとマリンは気をつけながら氷木に近づくと、中にサファイアの姿を見つけた。
 
満足気に微笑している亡き妹を見て涙が溢れ同時に後悔した。

どうしてサファイアの事を知ろうとしなかったのだろうか? なぜ兄上のように守ってあげる事が出来なかったのだろうと。

そう自分に問いかけても、応えなんて分かっていたくせに。

サファイアの死にわたくしは涙を流す資格はない。

ラリマー同様にわたくしも、サファイアの事を『化け物』だと思っていたのですから。

だから関わりたくなかった。

早く居なくなれば良いのにとすら思った事がある。
 
わたくしは持っていた花束をそっと置いて、手を合わせて心から祈った。

どうか新しい世界では、サファイアが幸せになれますように――と。

「サファイア……良かった」
 
この場に現れた時のあなたの瞳は、あの時とは違う物でした。

強い覚悟を秘めた青紫の瞳。

あなたはそんな瞳を浮かべる事が出来たのでしたね。
 
わたくしはマリンの手を引いて玉座の間から出て行く。

するとわたくしたちの体が金色に光を放つと、徐々に透けていく。
 
サファイア、どうか頼みましたよ。

そしていつか出会って下さい。

あなたの力となってくれる、わたくしたちの子孫に――


★ ★ ★


「おぉ〜! ここはまた一段と星が綺麗に見えるっすね!」
 
なんて歓喜の声を上げながら、望遠鏡を覗いているある男の背中に向かって、私は足元の雪を軽くすくってから雪玉を作り、狙いを定めてから勢い良く投げつけ頭にぶち当てた。

「いっっっっったぁぁぁ!!!」
 
投げつけた雪玉は見事に命中。男はとても痛そうに頭を抱えるとその場を転がった。

さすが氷結の力を少し使って固めた雪玉だな。

もしかしたらこれ攻撃にも使えるんじゃないか? なんて思いながら、私は男に声をかける。

「おい、お前」

「な、何なんすかいったい?! いきなり人の頭に雪玉投げつけるなんて、どういう教育を受けたらそんな発想が――」
 
ぶつくさと文句を言いながら目尻に涙を浮かべていた男は、恨めしそうにしながらこちらへと振り返った。

青紫色の瞳に私の姿が映ると、男はびっくりしたように目を見張った。