ヴェルト・マギーア 星の涙FinalAct

「こ、答えなさい! サファイア! 一体どういうつもりでこんなこと!」

「どういうつもりで? ふっ……そんなの決まっているいるじゃないかラリマー姉さん」
 
私は玉座に座ってこちらを見下ろしている兄上へと右手をかざす。

「この国を滅ぼすためさ!」
 
私の一言に、兄上を除く姉上たちは目を見張った。

しかし兄上だけは、いつも通りの冷血な表情を浮かべたまま、じっと私の事を睨みつけている。

「サファイア。なぜ、この国を滅ぼそうとする?」

「なぜ? そんなこと今更私に聞くのか? 聞かなくても、自分が一番分かっているんじゃないのか?」
 
細氷を作り出しその内の数本を、兄上目掛けて放った。

だが当てる事はせず、わざと外すように放った。それを兄上も分かっていたのか、表情一つ変えず一ミリも体勢を変える事なく、青紫色の瞳に私だけを映していた。

「あ、あんた! お兄様になんて事するのよ!」
 
ラリマー姉さんは私の行いに激怒し、フローライト姉さん達の側から離れると、そのままこちらへと歩いて来る。

あぁ、この光景もあの時と同じだと内心で呟いた時、目の前にラリマー姉さんが立ちはだかる。

「この化け物め! ようやく本性を現したのね! 国を滅ぼすとか言っておいて、本当は自分がこの国の王様になりたかっただけなんでしょう!」
 
姉さんの的はずれな発言に、私は深々と溜め息をついた。

相変わらずラリマー姉さんは思い込みが激しいと言うか、何て言うか……本当に馬鹿な人だ。

そう直接本人に言ってやりたいが、時間が限られている以上――

「姉さん、少し黙っててもらえませんか? 邪魔なんですよ」

「は、はぁ?! あんた第二王女であるこの私に、その口の聞き方は何なのよ!」

「だから――」
 
その時ラリマー姉さんの体を、黒い氷が勢い良く貫いた。

「がはっ……!!」
 
その拍子にラリマー姉さんの血が頬と衣服に飛んできた。

姉さんは自分のお腹に氷の槍が貫いていると知り、恐る恐る兄上へと視線を移動させた。

「お、にぃ、さま……一体、どうして……?」

私は諦めて目を閉じた。これはあの時もそうだった。

エアたちと一緒にこの場に立った時、ラリマー姉さんはさっきと同様に私を罵倒した。

ずっと内に抱いていた私へ対する恨み辛みを吐き出していた時、兄上によって容赦なく腹を氷で穿たれ死んだ。