「次同じことやってみろ。
その時はお前の大事な大事な妹を俺が襲うから」


「っ……!ご、ご、ごめんなさい!!!!」




"妹"というワードでお兄さんは顔色を変え、
震える足で走って逃げてしまった。


途中躓いていたけど。




「………………」


「………………」




えーっと…


助けてくれた…んだよね?



静かになる、この場。




「…………あ、ありがとう…」




また助けられてしまった。


この前はお礼を言うのも照れくさかったけど、
今回はすんなりと言葉が出た。


本当に怖過ぎたから………




「……、…いっ!?いひゃい…!!」




急に左頬に痛みが走る。


つ、つねられた!!!!





「少しは警戒しろよチビ!」


「だ、だって!!昨日の話だと思って……い、いひゃい!!!!」




もう一度、同じ場所をつねられる。




「か、彼女いるのに、こんなことしていいの?」




首元に回されている腕。


こんな姿、周りから見れば浮気現場じゃない?





「は?彼女?誰が」


「茶髪ロングヘアーの人」





茶髪ロングヘアー?


なんて、分かりやすく言ったつもりなのに誰のことか分かっていない様子。





「今日の朝の講義で隣に座ってた人!!!」


「あー…、あいつねぇ。

…………なに?気になんの?」





不意に耳元でそう囁くものだから、




「き、気になるとかじゃなくて!こんな事したら浮気してると思われるって言ってんの!!!そーなったら迷惑だし!!!」




早く距離を取りたくて、その腕を引き離す。


顔が熱い……




「は、顔真っ赤」


「っーーーー!熱!熱があるの!!」




そんな言い訳に蒼空さんは「そーかそーか」なんて、私の髪の毛がグシャグシャになるくらい撫でた。




「……まぁ、お前には関係ねーよ」




そう呟いて。