「言葉だけで、許してもらえるなんて思ってないけど…今は謝らせてほしい。……ごめん」
「………………」
頭を下げる優さん。
少し前までなら、勝手すぎると怒鳴ってしまったかもしれない。
だけど、今はなぜか、
「良かったー…」
安心する自分がいる。
「………え?」
そんな事を発した私に、思ってもいなかった言葉が返ってきたから驚いているのだろう。
「優さんが、元に戻った」
「っ、」
曇りのないその目に
もう大丈夫だと、脳がそう判断したから。
今なら、ちゃんと、華さんと話し合えるかもしれないと。
「今度、一発殴らせて下さいね!!!」
そう言って、立ち上がる。
そのため、ベンチには一人分の席が空いた。
「蒼空さん!仕事遅れちゃうから行こう!」
「ああ、もうそんな時間か」
「えっ、行っちゃうの……?」
少し戸惑ってる様子を見せる華さんだけど
「華。」
「っ、」
「もう大丈夫」
そんな華さんを落ち着かせるように
蒼空さんがそう言う。
蒼空さんに"大丈夫"だと言われると、なんだか安心してしまうから。
「……………うん、」
私も、華さんも。
覚悟を決めたかのように
華さんが小さく頷いたところを横目に、私はニコリと笑ってみせた。