「そう言ってくれると思った」
「……………」
「ちょ、痛い痛い」
満足気な顔をされて更にイラッときたから
その顔面を手で押し返した。
顔の大きさは私の手のひらとほぼ同じでムカつくし、
「痛いよ凛さん」
なんて言う割にはすんなりと引き剥がされるし
距離は元通りになっちゃったし。
ほんと、
私と違ってコイツは何もかもが余裕そうで。
「……私を苛立たせる天才ね」
窓から差し込む光によって
瞳をもっと鮮やかに色付けては
「褒め言葉だと思って受け取るよ」
その瞳に見惚れる私へ
爽やかな笑顔を見せてから
手馴れた手つきで口付けを落とす。
掴まれた手首は
まるで手錠をかけられているかのように
ギュッと力を込められて外せなかった。



