保健室の先生の声が聞こえてきてから、動くことができなかった。
そのうち、久我君が保健室から出てきて、私が聞いていたことがバレてしまった。
「織部さん、そこでなにを」
久我君は私の表情を見て察したのか、視線を動かして、ため息をついた。
そんな反応をされると、どうしていいのかわからない。
盗み聞きをしたことに対する後ろめたさもあって、とりあえず俯く。
「今の、聞いてた?」
「ごめんなさい……」
これは、久我君が喫茶店で私たちの話を聞いていたときとは状況が違う。
私が勝手に聞いてしまった。
だから、謝るしかなかった。
「別にいいけど。なにを聞いた?」
久我君の声がどこか冷たいような気がして、手が震える。
それだけ、久我君を怒らせてしまうようなことをしたのだ。
覚悟を決めて、すべてを話すしかない。
「先生が、久我君に薬を忘れるなんて死ぬ気なのって……」
本当は、もう少し二人は話していたはずだった。
でも、私の耳には入ってこなかった。
久我君が死ぬかもしれないという事実を受け止めようとすることだけで、精一杯だった。
「久我君、死ぬの……?」
そこでやっと、私は顔を上げた。
そのうち、久我君が保健室から出てきて、私が聞いていたことがバレてしまった。
「織部さん、そこでなにを」
久我君は私の表情を見て察したのか、視線を動かして、ため息をついた。
そんな反応をされると、どうしていいのかわからない。
盗み聞きをしたことに対する後ろめたさもあって、とりあえず俯く。
「今の、聞いてた?」
「ごめんなさい……」
これは、久我君が喫茶店で私たちの話を聞いていたときとは状況が違う。
私が勝手に聞いてしまった。
だから、謝るしかなかった。
「別にいいけど。なにを聞いた?」
久我君の声がどこか冷たいような気がして、手が震える。
それだけ、久我君を怒らせてしまうようなことをしたのだ。
覚悟を決めて、すべてを話すしかない。
「先生が、久我君に薬を忘れるなんて死ぬ気なのって……」
本当は、もう少し二人は話していたはずだった。
でも、私の耳には入ってこなかった。
久我君が死ぬかもしれないという事実を受け止めようとすることだけで、精一杯だった。
「久我君、死ぬの……?」
そこでやっと、私は顔を上げた。