消えた未来

「じゃあ聞くけど、人を好きになるってどういうことなの?」

 それがわからない限り、私の恋バナは進まない。

「そうだな……これからもずっと一緒にいたいとか、自分以外の女の子と話していたら嫌だなって思ったら、恋なんじゃないかな」

 あまりピンとこなくて、曖昧な相槌を打つ。

「あとは……会えるだけで嬉しいとか、今なにしてるのか気になるとか……」

 私が納得していないのが伝わってしまったようで、お姉ちゃんは答えをひねり出している。

 その必死さが面白くて、笑ってしまった。

「嘘っぽいって思った?」

 どうしてそう思ったのか。

 そう聞く前に、お姉ちゃんは反対を向いた。

「やっぱりわかる? これがラブソングとか少女漫画の知識で得たものって」

 恐ろしく、声が小さかった。

 これはつまり、お姉ちゃんも初恋はまだと言っているようなものだ。

 少し前までなら、こんなことは言わなかったと思う。

 もう、『お姉ちゃん』をするのをやめたのかな。

 そう思うと、嬉しいような、寂しいような、複雑な気持ちだ。

「なんとしてでも私に恋愛をわからせようとしてるのが面白かっただけなんだけど、お姉ちゃんも恋したことなかったんだね」