消えた未来

 あと、お母さんに嫌われたわけじゃなかったって知れて、安心した。

 それが顔に出ていたようで、お姉ちゃんはニヤニヤしながら見てきた。

「……なに」

 その顔を向けられたくらいで拗ねたみたいに言ってしまって、自分でも子供だなと思った。

「言った通り、真央はいらない子じゃなかったでしょ」

 お姉ちゃんは私の耳元で言った。

 どうやら、忘れていなかったらしい。

 というより、この場で言うとは思っていなかった。

「ちょっと」
「真央、そんなふうに思ってたの?」

 私が慌てたところで、無意味だった。

 小声でも聞こえていたらしく、お母さんは目を見開いて言った。

 お父さんも、似たような表情をしている。

 これは誤魔化せないというか、誤魔化さないほうがいいだろう。

「思ったというか……夢で見た、というか……」

 でも、どう伝えればいいのかわからなくて、口ごもった。

 お母さんは視線を落とす。

「真央がそこまで嫌な思いをしていたなんて、気付かなかった」

 そして、真っ直ぐ私の目を見てきた。

「真央は私たちの宝物よ。いらないなんて、思ったことは一度もない」

 横でお父さんが頷いている。

 急に視界が歪んで、私は我慢せずに涙を落とした。