消えた未来

 お姉ちゃんはむせていたけど、すぐに落ち着いて私を見た。

 それは、さっきまでの私がしていたであろう表情だった。

「本当に、そんなこと言われたの?」
「たぶん……」

 はっきりと聞かれると、自信はなかった。

 優しかったお父さんとお母さんに厳しくされたことがショックで、夢に見るようになって、どの言葉が本当に言われた言葉なのかがわからなくなっていたからだ。

「絶対にありえない」

 お姉ちゃんははっきりと言った。

「どうして言いきれるの?」
「真央が嫌われてしまったのが本当なら、私もいらない子だって言われてるはずだから」

 それこそありえない話だ。

 お姉ちゃんがいらない子なわけがない。

「……ここから先は、どれだけ話してても予測でしかないから、直接聞いたほうがはやそうだね。でも」

 お姉ちゃんは改めてメニューを手にした。

 それから、ニヤリと笑う。

「ケーキは食べて帰らない?」

 さっきまでの重たい空気が嘘のようだ。

「そんなに食べたかったの?」
「本当に美味しいから、真央も食べてみて」

 お姉ちゃんはそう言いながら、手を挙げて店員を呼ぶ。

 そして、見知った人が注文を聞きに来た。

「久我君……?」