消えた未来

「それで、六月に入ったころ、リビングでお母さんたちが話してるのをこっそり聞いたんだけど……」

『奈穂があそこまで甘えん坊だったなんて知らなかった』
『このままだと、独り立ちできないかもしれない』
『真央もわからない』
『少し甘やかしすぎたんだ。これからは厳しくしよう』

 お母さんたちの言葉を並べるお姉ちゃんは、今日一番つらそうな顔をしていた。

「その次の日から、本当に重要なこと以外のメッセージは全部無視されるようになった。そこまでする?って思いながら、私なりに頑張って学生生活を送って、一年って感じ」

 それを聞くと、私だけじゃなかったことに少しだけ安心していた。

「お母さんたちはたぶん、真央に私と同じ道を歩んでほしくなくて、厳しく育てることにしたんだと思う。受験勉強で苦しまないように、一人で暮らしていけるようにって」

 もしそれが本当だとしたら、唐突すぎるし、厳しすぎると思う。

 まさに、お姉ちゃんが言っていた通りだ。

 ゼロか百しかないとは、そういうことだったのか。

 でも、一つだけ解決していないことがある。

「お父さんたちが私を無視したり、お姉ちゃんだけでよかったって言ってたのは、なんで?」

 タイミング悪くお姉ちゃんはカフェラテを飲んでいて、吹き出した。