消えた未来

 お姉ちゃんは視線を落として言った。

 さっきまでのテンションが消えたことにも戸惑ったけど、急に本題に近いことを言われて、反応に困った。

「お母さんたちはゼロか百しかできない人だったんだね。まさか、放課後に寄り道させないくらい厳しくしてるなんて、思わなかった」

 話が見えなくて、黙って聞いておくことしかできない。

「お父さんたちが厳しくなったのって、正確に言えば、去年の六月くらいじゃなかった?」

 そう言われて思い出そうとするけど、脳が拒否しているような感じで、思い出せなかった。

 代わりとしては最悪だけど、お父さんたちの厳しい言葉で頭がいっぱいになった。

 忘れようと強く目を瞑っても、余計にはっきりとしてしまって、耳を塞ぐ。

「真央、お父さんたちに嫌なこととか言われたりしたの?」

 小さくなった周りの音の中で、お姉ちゃんに声が聞こえた。

 目を開けると、今までで一番心配そうな目をして、私を見ている。

 だけど、私はその質問に答えなかった。

「なにを言われても信じられないかもしれないけど……お父さんもお母さんも、真央のことを思って厳しくしてるんだよ」

 お姉ちゃんが前置きした通り、信じられなかった。

 かといって、それを否定する気はなかった。