消えた未来

 つい、で話すようなことではないのはわかっている。

 だけど、あのときの衝動を言語化するには、それがちょうどよかった。

 星那は呆れたようにため息をつく。

「もう話してしまったことに対して言ってもしょうがないけど……私にも相談してくれてもよかったと思う」

 それもそうだ。

 私は、星那には現状しか伝えていなかった。

 昔に戻りたいなんて、一度も言ったことがない。

 言ったところで、なにも変わらないと思っていたからだ。

 でも、久我君と話すようになってから、もしかすると変われるかもしれないって思ったんだ。

 それで、久我君に先に話してしまった。

 申し訳ない気持ちが込み上げてきて、謝ろうとしたけど、それは違う気がした。

 でも、謝らないでいたら、なにを言えばいいのかわからなくなって、私は黙ってしまった。

「怒ってるわけじゃないから、そんな悪いことした、みたいな顔しないで。ね?」

 星那のほうこそそういう顔をしているけど、言えなかった。

 笑顔を取り繕ってみるけど、上手く笑えている気はしなかった。

 それからすぐに始業のチャイムが鳴って、私は自分の席に戻った。

 先生が朝の連絡事項を伝達していたけど、考えごとをしていたから、ほとんど入ってこなかった。