消えた未来

 いつもなら、すぐに私のところに来て不満を並べていくのに、今日は違ったから、思わず声が漏れた。

 星那が久我君を追いかけたのだと理解してから、私もそれを追った。

 追い付いたときには、星那は久我君を睨みつけていた。

 あれだけ久我君を怖がって、私と話すことへの文句さえ言えなかった星那が、なぜか久我君に喧嘩を売っている。

 これを混乱するなというほうが無理があるだろう。

「ちょっと星那、どうしたの」

 とりあえず状況の把握だけをした私は、星那と久我君の間に入る。

 久我君と離れても、星那はまだ久我君を睨んでいる。

「よかったね、織部さん」

 わからないことだらけで、私はただ首を傾げた。

「俺よりも親身になって話を聞いてくれる人、ちゃんといるみたいだから」

 久我君はそれだけを言うと、どこかに行ってしまった。

「星那、なにがあったの?」

 私が聞いても、星那は不機嫌そうにして教室に戻って行った。

 そのままにしておけるわけがなくて、星那の席のそばに立つ。

「どうしてあんなことをしてたの?」
「……久我が、真央を困らせてたから」

 改めて聞くと、星那は怒りのこもった声で教えてくれた。

 だけど、それだけではなにもわからなかった。