消えた未来

「どうして……」
「侑生がよく言ってるんだ。やりたいことがない人生はつまらないって」

 やはり少年に聞いたのは正解だったみたいだ。

「どうやって、やりたいことを見つけたらいいのかな」

 冷静になると、小学生に人生相談みたいなことをしているこの状況は不思議でしかないけど、気にしたら負けだと思うことにした。

「なにも知らなかったら、なににも興味が持てない。だから、いろんなことを見て、感じて、経験するといい。侑生はそう言ってた」

 どういう流れで少年にそんなことを言ったのか気になったけど、今はそれを聞いている余裕はなかった。

 少年が今教えてくれた久我君の言葉を、何度も脳内で繰り返す。

『いろんなことを見て、感じて、経験する』

 そうすることで、私もなにかを見つけられるかもしれない。そう思うことで、私の心は少しだけ軽くなった。

「教えてくれてありがとう。えっと……」
「藍田(つかさ)
「士君。私は織部真央」

 いきなり下の名前で呼んだからか、士君は目を見開いた。そして降ってきたボールが、見事に士君の頭に当たる。

 私だって、抵抗がなかったわけじゃない。でも、年下の男の子を苗字で呼ぶのも違和感があって、そうするしかないと思ったんだ。