消えた未来

 否定するつもりはないけど、久我君に言われる筋合いはないのでは。

 そう思うと、無性に納得がいかなくなってきた。

 私にあんなことを言った久我君は、さぞ褒められた人間なんだろう、なんてくだらないことまで考えていた。

 朝のSHRが終わると、久我君が教室を出たから、私は気付かれないように後を追う。

 褒められたことじゃないのは重々承知しているけど、手っ取り早く久我君がどんな人なのかを知るには、この方法しかないと思った。話して知るなんて、できないし。

 しばらく歩くと、久我君は迷わずに保健室のドアを開けた。

 昨日も保健室にいたって言っていたし、ここが久我君のサボり場なのかもしれない。

 やっぱり、久我君につまらないって言われたのは、納得いかない。星那が言ったように、気にしないでおこう。

「侑生、今日の体調は?」

 満足してその場を去ろうとしたとき、女性の声が聞こえてきた。保健室の先生の声だろうか。

 侑生って、久我君の下の名前だったような……

「普通」

 これは久我君だ。冷たい感じが耳に残る。

「だったら、教室に戻って」

 保健室の先生も、それなりに冷たかった。生徒に聞かせるような声とは思えない。

 もしかしたら二人は仲がいいのかもしれないなんて思っているうちに、どんどん会話が進んでいって、私は慌てて教室に戻る。

 危なかった。あのままだと、盗み聞きをしてしまうところだった。