消えた未来

 あの日告白してくれたときと同じくらい、真剣な目をしている。

 久我君と過ごしたわずかな時間は、夢ではなかったのだと教えてくれているみたいだ。

〈でも俺は君を幸せにすることはできないから……〉

 久我君は俯き、しばらく言葉を止めた。

 悩み終えると、またカメラを向いた。

〈君がずっと笑ってくれていると、嬉しい。それが、今の俺の、唯一の願いだ〉
〈……終わり?〉

 お姉ちゃんの声だ。

 録画を止める前に確認しているらしい。

〈一応〉
〈熱烈なラブメッセージだね〉

 からかわれたことにより、久我君の顔が赤くなる。

〈真央には会わないの?〉
〈会わない。会う資格がない。あと、会ったら今言ったこと以上のことを望んでしまう気がするから。だから、織部さんも俺がここにいることは絶対に教えないで〉
〈はいはい〉

 動画はそこで終わった。

 これを見て、納得したことと疑問があったけど、疑問は解決してしまった。

 お姉ちゃんが久我君のことを教えてくれなかったのは、久我君が、お姉ちゃんに自分の存在を口止めしていたからだったのか。

 そして、この動画を撮ったから、二人はあれほど親密だったのか。

「……このやり取りがあったから、私は真央と侑生君が再会してたことに驚いたんだよ」

 お姉ちゃんはそう言いながら、スマホを操作している。

 それにしても、久我君の願いを聞いたからだろうか、それに応えられない自分が嫌で、さらに笑えなくなっていた。