消えた未来

「真央に見てほしいものがあるの」

 眩しいものは見たくないと思っているのに、お姉ちゃんはスマホの画面を見せてきた。

 目が光に慣れてきたようで、徐々に画面を捉える。

 そこには、再会したばかりのころのような、暗い顔をした久我君が映っている。

 私は奪い取るように、お姉ちゃんからスマホを受け取った。

〈織部真央さん〉

 動画だ。

 久我君が動いている。

 お姉ちゃんが見せてきたタイミングからして、あまり考えたくはないけど、遺書的なものだろうか。

「これ……なんで……?」

  私は画面から目を離し、お姉ちゃんを見た。

「侑生君と初めて会って数日後かな。どうやら『織部』に反応したみたいで。真央の知り合いかって聞かれたの。それで、妹だって教えたら、伝えたいことがあるから動画を撮ってくれないかって言われて」

 再会した日、お姉ちゃんを見て『姉を連れてきた』って言ったとき、喫茶店のことを覚えていたのだと勝手に思っていた。

 まさか、二人がこんなことをしていたとは、思いもよらなかった。

 改めて画面を見ると動画が進んでいたから、また最初から見直す。

〈織部真央さん。久しぶり。元気?……なんて、俺に聞く資格はないかもしれないな。あの日、織部さんを傷付けてから、今でもずっと後悔してる。もっといい別れの告げ方があったんじゃないかって。でも、それと同じくらい、あれでよかったんだって思う自分がいた。君に嫌われている、忘れられていると思っているほうが、俺は気が楽になれたから。それくらい、織部さんのことが好きだった〉