やっぱり私のことに興味ないんだろうと実感させられたけど、あまり考えすぎると悲しくなるだけなので、どうにか考えないようにする。

 それでも、インパクトが大きすぎて、思考回路が切り替わらない。結局引き戻されてしまう。

 考えないようにするのは諦めて、強制的に気分を変えようと思って、もう学校に行くことにした。

 そして家を出たのはいいけど、挨拶をしていなかったことに気付いた。

 でも、挨拶をしたところで、なにも聞こえていないように振る舞われてしまうのだから、しなくてもよかったのかもしれない。

 いや、帰ったときのことを考えたら、今から気が重い。怒られる未来しか見えない。

「真央、おはよう。元気ないね?」

 本日、何度目か知らないため息と同時に、星那が私の肩を叩いた。

 私は星那に挨拶を返す前に、抱きついた。

「どうした? またおじさんたちに嫌なこと、言われた?」

 星那の暖かい手と、心を解してくれるような声に、涙が出そうになる。

 星那の腕の中で、首を横に振った。

 ちゃんと話すために、ゆっくりと星那から離れる。

「夢を見た、というか……昨日は、お母さんたちじゃなくて……久我君に」

 ほとんど初めて彼の名前を口にして、本人が目の前にいるわけじゃないのに、緊張に襲われた。

 でも、どれだけ彼が怖くても、同級生であることに変わりはないのだから、名前を呼ぶくらいは普通だろう。こんなことに抵抗を感じる方がおかしな話だ。

「久我って、あの金髪の?」

 他に誰がいるんだろうと思いながら、頷く。