消えた未来

「なんで?」

 その質問の意図が見えなくて、俺は質問を返した。

 でも、それを俺が怒っていると思ったみたいで、蘭子はますます俯いた。

「ごめん、忘れて」

 そう言われても、気になって仕方なかった。

 俺なりに、蘭子がそう言ってきた理由を想像する。

「俺がまた誰かに病気のことを話すんじゃないかって?」

 蘭子は、あのとき酷く織部さんたちを責めていた。

 今でも、俺が病気のことを話したことを責めるようなことを言ってきた。

 なにがそんなに心配なのかわからないけど、とりあえず、俺の病気のことが知られるのは嫌だと思っていることは感じていた。

 だから、今の言葉もその思いから出てきたんだと思った。

「そうじゃない。侑生が誰に話すかは、侑生が決めることだから、私は別に」

 でも、蘭子は迷わずに否定した。

 違ったことに驚いたし、後半の言葉が信じられなくて、俺は蘭子に疑いの目を向けた。

 俺の視線に気付いた蘭子は、流れるように目を逸らした。

「この前のは、侑生が話したくて作った場じゃなかったから」

 なるほど、織部さんが興味本位で俺の病気のことに触れてきたのが気に入らなかったのか。

 しかしながら、この表情を見れば、少し後悔しているように見える。

 あそこまで言わなくてもよかったのではと、自分でも思っているのだろう。