急いで雨宿りのできる丸い穴の空いた遊具の中に入り、寒さでかじかんだ手をこすり合せる。 「もう、出てくるんじゃなかった」 雨がもう少し弱まったら、意地を張ってないで帰ろう。 ユキにもご飯を作ってあげなきゃいけない。 そんなことを考えながら、膝を抱え丸まっていると、遠くから足音が近づいて来る。 そしてそれは、穴の目の前でピタリと止まった。 「……春香?」 どこか甘いその声は、毎日聞いているものだから誰のものか一発で分かる。 ……げんこつって、言ったのに。