傘もささず、雪の降る大通りを駆け抜ける。 その間、ずっとユキがなにか言っていたけど、私は振り返らなかった。 大通りから外れた公園の、屋根がついているベンチにたどり着き、私はやっと足を止める。 「……はぁっはぁっ」 「びっくりした……。春香、この前ぶりだね。急にどうしたの?」 「急にどうしたのじゃないでしょ!!」 肩で息をしながら振り返ると、ユキはあの時と少しも変わらぬ顔で、困ったような笑みを浮かべていた。 まるで、私が何故連れ出したか分からない、という表情。