「…………あの子、未成年なのにっ」 自分の中の正義感に火がつく。さっきまでしぼんでいた気持ちはどこかに飛んでいた。駆け足でそのビルに向かい、ユキの手首を掴む。 「……春香?」 名を呼ばれる。覚えていたんだと驚くのと同時に、喜びがじわっと胸に広がる。 そのまま、私はユキの手を引き駆け出した。 ***