「ごめんなさい、そろそろ帰らないといけなくて……」

イヅナはそう言い、制服に着替えようとする。ギルベルトは「なら最後にもう一着だけお願い!」と頼み、キャロルとライムに着せたい衣装を言う。それを口にした刹那、キャロルが「素敵!」と今日一番の大声を上げ、準備のためイヅナを連れて行った。

「恋人でもないのに、よくそんな要望言ったな」

ライムにジッと見つめられ、ギルベルトは「まだわからないだろ?」と微笑む。

「もしかしたら、俺のために将来着てくれるかもしれないじゃないか」

キャロルは気合を入れて髪やメイクをしているようで、なかなか試着室からイヅナは出て来なかった。待ちくたびれそうになった時、ゆっくりとドアが開く。

「ギルベルトさん、これって……」

恥ずかしそうにブーケを持つイヅナは、純白のウエディングドレスを身につけていた。頭にはティアラのついたベールをつけ、レースがふんだんに使われて後ろにはリボンのついた可愛らしいウエディングドレスだ。

「思った通り、よく似合ってる。お姫様みたいだ」

戸惑うイヅナを、ギルベルトは優しく抱き締める。胸を高鳴らせながら、彼女に少しでも想いが伝わればいいと思うのだった。