暴れ回る巨人を目にしていても、止めることができない。もどかしくなっていく。刹那、暴れ回っていた巨人が足を止めた。

「何だ!?」

ボロボロになったツヤが警戒しながら巨人を見上げる。巨人の体が震え、何かが落ちてきた。落ちてきたそれは地面を雨のように濡らしていく。巨人の涙だ。暴れ回っていた巨人が泣いているのだ。これにはイヅナたち全員が驚いていた。

「……コンナ事、シタイワケジャナイ……。コンナ事、永遠ニサセラレルクライナラ……」

巨人が泣きながらそう呟いた刹那、自身の拳を体に突き刺した。拳が体の中にめり込んで行き、血が噴き出る。

「妖が、自決しようとしている!?」

ギルベルトが戸惑い、イヅナは苦しそうに顔を歪めている巨人を見て、胸がただ苦しかった。知能が戻ったというのに、この巨人を助けてあげられない。それが苦しくてたまらない。

胃を自分で破壊した巨人は、その場に倒れていく。その目には涙が浮かび、何故か幸せそうに笑っていた。

「ッ!」