イヅナがチラリと横を見れば、幼なじみのレオナード・ロマーナとヴィンセント・レゴシと目が合う。二人はニコリと笑った。

「大丈夫!」

「イヅナならできるよ」

二人の強くて優しい目は、そう言っているように見える。イヅナも頷き、ツヤの方をもう一度向いた。

こうして薙刀をまた持てるようになるまで、少し時間がかかった。必ず救うと決めたニコラスを救えず、この手で殺してしまったからだ。何度も泣き、薙刀を持つ手が震えた。

しかし、レオナードやヴィンセントが泣くたびに抱き締め、ツヤが励まし、ギルベルト・エーデルシュタインがあるものたちを発明してくれたおかげで、イヅナはまた人と妖の共存のために歩こうと思えたのだ。

イヅナとツヤは数十秒見つめ合い、どちらが先に動くのかとレオナードがゴクリの唾を飲み込む。刹那、イヅナはツヤに背を向けて走り出した。

「!?おい、逃げるつもりか!!」

ツヤが怒りながらイヅナのあとを追いかける。イヅナはツヤによる特訓のおかげで持久力、瞬発力が前より上がったとはいえ、人間と鬼では圧倒的に鬼の方が有利である。