「今までは村の中でこういうことは言えなかったけど、レイチェルさんがあなたたちを泊めるって決めたから、少しずつ何か変わっていくのかなって嬉しいの」

ギルダはふわりと笑い、イヅナの心に安心がふわりと生まれていく。しばらくするとギルダは立ち止まり、「ここが私の家」と言った。

「立派な家ですね!」

一人で住むには広すぎるほどの二階建ての家は、鮮やかな緑のドアがつけられており、気分が明るくなってくる。思わずイヅナの口から言葉が漏れた。

「うふふ、ありがとう。使ってない部屋がたくさんあるから、好きな部屋で寝てね。すぐ夕食にするから」

ギルダがそう言い、イヅナとレオナードは「手伝います!」と同時に言った。家の中に入ると、カラフルで可愛らしい家具たちが出迎えてくれる。

それに癒されつつ、イヅナたちは手洗いを済ませ、食事の支度に取りかかった。作るのは、普通のパイ生地の代わりにジャガイモを使ったシェパーズパイとスープ、そしてイースト菌の代わりに重曹を加えて作ったソーダブレッドだ。

「デザートにアイリッシュクリームチーズケーキを用意するわね。アイリッシュウイスキーが入っているから、大人の味がするわよ」