その後、イヅナとレオナードはギルダの家に泊まることになり、ツヤとギルベルト、そしてアリスはレイチェルの家に泊まることが決まった。イヅナとレオナードは、ギルダと話しながら彼女の家に向かっている。その途中、彼女とフェイが十六歳であることを教えてもらった。

「あの、ご家族さんの迷惑にはなりませんか?私たちは呪術師でもありませんし……」

イヅナが訊ねると、ギルダはどこか寂しそうな表情を浮かべる。そして星が浮かび始めた空を見上げた。

「私とフェイの両親は、村を出ている時に巨人に襲われてそのまま亡くなってしまったの。人が立ち入ったせいで結界が薄くなって、それで……」

突然の告白にイヅナは目を見開き、胸が痛くなって俯く。レオナードは「すみません」と謝る。だからあの時、フェイは怒っていたのだ。

「いいのよ、両親を殺したのは巨人なんだから。それに私は呪術師だけじゃなくて、もっと多くの人と関わりたいと思ってるの」

ムエルト村の人たちは呪術師以外を嫌い、憎んでいる。そのため、村で育った子どもたちは村の外の世界を知らずに生きているそうだ。