レイチェルの言葉は予想外のもので、レオナードの口から「マジ!?」という言葉が飛び出す。

「レイチェル様、本気ですか!?」

「いくらフェイとギルダを助けてもらったと言っても、こいつらは部外者だぜ!?」

キクとユージーンが反対したが、レイチェルは「夜の山道は危険だ」とイヅナたちを泊らせる考えを変えることはなかった。まだ騒ぐ二人を無視し、レイチェルはツヤとギルベルトを見る。

「私の家はそれほど広くはない。ギルベルトとツヤに来てもらっていいだろうか?申し訳ないが、この村に宿はない。誰かの家に泊まることになる。イヅナたちは先にその家に行っていろ」

レイチェルがそう言った刹那、「俺の家には絶対来るなよ!!」とフェイが怒鳴る。フェイは目をギラつかせ、拳を握り締め、激しく怒っていた。

「よそ者は出てけ!呪術師じゃないなら来るな!」

「ちょっと、フェイ。私たちはこの人たちに助けてもらったのよ!」

ギルダが止めたものの、フェイはイヅナたちに暴言を吐きながら去っていく。ギルダが何度も頭を下げ、キクたちは無表情で西に傾き始めた太陽を見つめていた。

「あのガキ、何かあったのか?」

ツヤの問いにギルダはゆっくりと頷く。その表情はとても重く、イヅナと歳の近い女の子には思えなかった。