「ツヤさん、ギルベルトさん、どうしたんですか?」

「アリスさんだっけ?あんた、ヴィンセントと一緒に隣国へ行ったんじゃ……」

戸惑いながらイヅナ斗レオナードはリビングに入り、質問する。ツヤたちはようやくイヅナとレオナードが入ってきたことに気付いたようで、少し驚いた顔をして固まる。

数秒後、「ごめんなさい!!」と泣きながらアリスが二人の前に移動して土下座を始める。二人は全く訳がわからず、顔を見合わせた。

「ちょっと、落ち着いてくださいよ。何があったんだ?」

レオナードが訊ねるも、アリスは泣きながら謝るだけだ。困り果てたその時、ツノと長く伸びた爪を元の長さに戻し、人の姿に戻ったツヤが口を開く。

「山道を進んでいる途中、こいつとヴィンセントが呪術師に襲われた。ヴィンセントはこいつを逃して奴らに捕まったらしい」

呪術師ーーーそれは呪いを操り、人を殺める力も持った者も少なくない存在だ。その恐ろしさはツヤたちに嫌というほど習ったのだから、イヅナとレオナードの顔が真っ青になる。