「そうそう!悪魔たちがお土産にっておいしいチョコレート買ってきてくれたんだ。ここに置いとくね。何とかって言う有名なお店のお高いチョコらしいよ〜」

「……いらない。それより、報告は何なんだ?」

笑いながら机にチョコレートを置こうとする青年を男性は睨み付ける。青年の笑顔が固まり、部屋は一瞬静かになった。風雨の音がやけにうるさい。

「……ほんっとつまらない人だよね〜。こっち側に来る前から、友達いなかったでしょ?」

凍りついたような笑顔で青年は言い、男性は勝手に言っていろと言いたげな目をする。青年はやれやれと肩をすくめ、口を開いた。

「実験No.1945って覚えてる?」

「満月でなくても人狼でいられるように作ろうとしたが失敗した実験体だな。確か名前は……ニコラス・フェリアーだったか?」

「そうそう、そいつそいつ。せっかく攫って人狼に作り変えたのに、自分が怪物だってことを人狼じゃない時は認識していないし、満月の夜にしか暴れてくれないから、実験体にした時の記憶を全部消して解放したでしょ?」